田中先生も知らない木彫の未来、82名の未だ見ぬかたち
「アトリエの末裔あるいは未来」展は、東京藝術大学彫刻棟「木彫室」と「旧平櫛田中邸」という二つのアトリエを介して生まれる彫刻の展覧会です。東京藝術大学彫刻科木彫研究室が主催し、旧平櫛田中邸の文化財保護・補修も目的としたこのサステイナブルな試みは、2006年に始まり、今年で10回目を迎えます。
「木彫室」と私達が呼び親しんでいる木彫用のアトリエは、とても高い天井や、全面板張りの床など、特別な雰囲気を感じる空間です。そこには私達の沢山の先輩方がつけた痕跡が数多くあり、歴史あるアトリエの匂いがします。
一方「旧平櫛田中邸」は、かつて藝大で教鞭をとられた近代を代表する彫刻家、平櫛田中(ひらくしでんちゅう)が暮らした邸宅で、アトリエを中心に設計され、生活スペースと制作の場、双方の性格を持った独特のつくりをしています。田中先生の彫刻家として生きた時間を感じることが出来る場所です。
この展覧会に出品される彫刻作品は、これら二つのアトリエを行き来した結果として、生まれます。
この度は第10回を記念し、従来の展示に加えて、東京藝術大学大学美術館陳列館での過去出品者による展示も企画いたします。「田中邸」同様、「陳列館」も歴史ある建物です。総勢82名の彫刻家によって作られた新しい木彫作品を、これら二つの歴史的な建築に展示することで、「アトリエの末裔あるいは未来」展の集大成となるでしょう。
また会期中には、大学美術館本館にて、田中先生が生前収集寄贈された、貴重な近代彫刻コレクションである「田中コレクション」による特集展示が行われます。本展と合わせて、日本の彫刻、木彫の魅力をご高覧いただければ幸いです。
【会期】 2015年11月20日(金)-29日(日)※24日(火)休館
【時間】 10:00-17:00 ※入場は16:30まで
【会場】 旧平櫛田中邸 〒110-0002 東京都台東区上野桜木2-20-3
東京藝術大学大学美術館陳列館 〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
【入場料】 無料
【関連企画】●シンポジウム 11月22日(日)13:00-17:00
会場:東京藝術大学美術学部中央棟1階 第一講義室
入場料:無料(先着180名)
13:00-<第一部>講演会「象徴としての肉的情感
-平櫛田中のエッセンス-」
山崎 泰行(美術評論・Dの3行目 本学芸術学科修士2年)
14:00-<第二部>講演会「近代日本木彫のリアリズム
〜佐藤朝山・橋本平八・平櫛田中を中心に〜」
藤井 明(小平市平櫛田中彫刻美術館 学芸員)
15:00-<第三部>パネルディスカッション 「田中先生から学ぶこと」
藤井 明(小平市平櫛田中彫刻美術館学芸員)
名嘉 雄樹(美術評論・Dの3行目)
小俣 英彦(本学彫刻科非常勤講師)
北山 翔一(本学彫刻科博士課程2年)
司会: 深井 隆(本学彫刻科教授)
●お茶会(邦楽演奏)11月29日(日)14:00-15:00
邦楽家による演奏会+お茶会
会場:旧平櫛田中邸
会費:500円(藝大フレンズ会員無料)
【出品者】
●旧平櫛田中邸(五十音順)
赤穂 進 浅野井 春奈 伊吾田 道子 井原 宏蕗 大石 雪野
大竹 利絵子 小俣 英彦 海谷 慶 北山 翔一 國川 裕美
純浦 彩 高見 直宏 張 龍 長久 保華子 額賀 苑子
深井 隆 福迫 大智 村田 勇気 森 淳一 山口 桂志郎
山中 未有 山本 雄大
●大学美術館陳列館(五十音順)
相子 恭平 浅野井 春奈 足立 仁史 渥美 雅史 井浦 千砂
池島 康輔 一井 弘和 井戸 博章 伊藤 久也 稲田 侑峰
内田 麻ゆ 大竹 利絵子 大野 匠 大平 龍一 岡本 直浩
小畑 多丘 小俣 英彦 海谷 慶 柿原 岳史 勝田 えみ
加藤 大介 木口 敬子 木戸 龍介 木村 有貴子 工藤 湖太郎
國川 裕美 倉本 弥沙 桑田 朋以 今野 健太 佐藤 元彦
清水 淳 白尾 可奈子 鈴木 友晴 高畑 一彰 高見 直宏
龍野 大輔 館山 拓人 田中 圭介 棚田 康司 田村 崇
滝上 優 塚本 悦雄 東條 明子 土門 真莉子 中里 勇太
中澤 安奈 中西 紗和 中村 弘峰 名倉 達了 根上 恭美子
灰原 愛 原 真一 人見 元基 平原 なつこ 平山 紗代
ビル・ウォルフ 深井 隆 福迫 大智 藤川 真由子 藤原 彩人
牧田 草平 増井 岳人 松下 由紀子 宮原 嵩広 森 一朗
森 靖 森 淳一 山口 桂志郎 米林 雄一 渡辺 里紗
【主催】東京藝術大学美術学部彫刻科木彫研究室 アトリエの末裔あるいは未来実行委員会
【助成】公益財団法人野村財団、藝大フレンズ
【協力】岡山県井原市、椎原晶子、たいとう歴史都市研究会、東桜木町会、平櫛弘子
【お問合せ】050-5525-2163 彫刻研究室
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