「木のシンギュラリティ」
東京藝術大学彫刻科木彫研究室は、2005年より旧平櫛田中邸の修復保全と作品の研究発表を目的とした展覧会、「アトリエの末裔あるいは未来」を10回にわたり行ってきました。
この度、その「アトリエの末裔展」の精神を受け継ぎつつ、装い新たに木彫研究室に在籍する学生の自主企画の展覧会として、私たちは「木のシンギュラリティ」を開催いたします。
シンギュラリティとは、英語でブラックホールの中心である「特異点」を意味します。ブラックホールは空間を捻じ曲げるほどの重力を持つ実在する天体ですが、その実態は解明されていません。シンギュラリティという言葉には、強い求心力と実態のつかめない怪しさが内包されています。
彫刻における木という素材は、ブラックホールと同様に、その中心へ私たちの意識を促します。他の素材と比べて、木は芯を持っていることが大きく異なる点です。そして、その芯から外側に向かう年輪の広がりが木目となって彫刻の表面に現れます。木に彫刻をしている時、私たちはその表面に「木」という生命のシンギュラリティを垣間見ています。
また、彫刻と自身との関わりの中で、私たちはそれぞれが持つ「特異点」を探さなければなりません。歴史や素材、他者との対話の中で自己を見つめるということを、彫刻の制作によって進めていくのです。
荒削りかもしれませんが、田中邸に新たな木彫の持つ「シンギュラリティ」が立ち現れることを願っています。
【会期】 2016年11月18日(金)~11月27日(日)※21日(月)休館
【時間】 10:00-17:00
【会場】 旧平櫛田中邸 〒110-0002 東京都台東区上野桜木2-20-3
【入場料】 無料
【関連企画】 アーティストトーク 11月26日(土)13:00~
【出品者】
赤穂 進 AKO Susumu
浅野井 春奈 ASANOI Haruna 荒木 秀造 ARAKI Shuzo 亀谷 さつき KAMEGAI Satuki 北山 翔一 KITAYAMA Shoichi 倉田 紗希 KURATA Saki
笹野井 もも SASANOI Momo 純浦 彩 SUMIURA Aya 髙山 瑞 TAKAYAMA Midori
張 龍 ZHANG Long
丸山 太郎 MARUYAMA Taro
矢田 遊矢 YATA Yuya
山本 桂輔 YAMAMOTO Keisuke
吉野 俊太郎 YOSHINO Shuntaro
【協力】岡山県井原市、たいとう歴史都市研究会、椎原晶子、東桜木町会、平櫛弘子
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